行政と地域を巻き込み生徒受け入れ

魚島の北西にある弓削島でも、「留学」による地域活性化に取り組む。上島町で唯一の愛媛県立弓削高校では、平成29年度から行政と地域住民も巻き込んだ「弓削高校魅力化プロジェクト」を実施。「ワクワク・チャレンジ・創造のゆめしま海道で夢つなぐ人になる」というキャッチコピーを掲げ、全国から生徒を受け入れる。

同町は、島外から公募で選んだ「高校魅力化コーディネーター」を配置し、学校と地域の連携強化に取り組むほか、教科指導とキャリア学習を2本柱にする公営塾「ゆめしま未来塾」や、学生寮「ゆめしま寮」を運営する。

こうした交流の取り組みは、地元の生徒への刺激ともなるという。町としては、「進学率を上げ、自分の望む進路へ進んでほしい。島に大学や専門学校はないので、一度島を出たとしても、経験を積んで戻ってきてほしい」と、未来の島の姿を描き、種を蒔く。

子供が学ぶ場所を選べる時代、離島創生のカギは教育の現場にも広がっている。

アクセス

魚島へは、因島(広島県尾道市)の土生港から弓削島の弓削港を経由し船が運航。

小林希

こばやし・のぞみ 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後に『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマにしている。これまで世界60カ国、日本の離島は150島を巡った。